Meta Superintelligence Labs(MSL)は 2026 年 10 月 12 日(米国時間)に Muse Wonder と Muse Wonder Full を発表しました。Claude や ChatGPT、Gemini の契約では使えないので、どの契約で、いくらで、どこまで使えるのかに絞って見ていきます。
この記事の要点
- Muse Wonder は Meta Model API と Muse Code の購読で使えますが、Wonder Full は Muse Code の月額 $50 の Power Usage 以上でしか使えず、API にはありません。
- Wonder の API の単価は 100 万トークンあたり入力 $4、キャッシュ入力 $0.20、出力 $20 です。1 タスクあたりでは $4.52 で、Claude Opus 5.5 より安く GPT-6 Astra より高い位置でした(Artificial Analysis の計測)。
- Muse Code の購読は既定で Contributor モードになっていて、送ったコードやファイルを Meta が今後のモデルの学習に使える状態です。業務で使うなら、プランより先にこの設定を確かめてください。
Muse Wonder とは
Muse Code を車体とすると、Muse Wonder はそこに積むエンジンにあたります。実際は MSL が Muse Spark に続いて出したエージェント向けの AI モデルで、モデルカードによると入力はテキストと画像、動画、音声に対応し、出力はテキストだけです。
Wonder と Full は名前が似ていても、同じエンジンの回し方違いとは考えないほうがよさそうです。API のドキュメントにも、Wonder の reasoning effort を max にしても Full にはならないと書かれています。公式ブログが前に出すのは、会話をまたいで文脈を持ち続ける Active Memory と、行き詰まると別の手を試す Active Focus です。
2026 年 10 月時点で 2 つのモデルをどこから使えるかは、次の図のとおりです。
Full を使う道は今のところ Muse Code の購読だけで、Muse アプリへの Wonder の搭載は時期が示されていません。
料金と使えるプラン
Muse Code の購読には 4 つのプランがあり、2026 年 10 月 25 日に製品ページで確かめた内容は次のとおりです。
| プラン | 月額 | Wonder Full | 利用量の目安 |
|---|---|---|---|
| Everyday Usage | $5 | 使えない | 5 時間あたり 10〜50 プロンプト |
| High Usage | $15 | 使えない | Everyday Usage の 5 倍 |
| Power Usage | $50 | 使える | Everyday Usage の 20 倍 |
| Maximum Usage | $200 | 使える | Everyday Usage の 80 倍 |
Everyday Usage の枠の幅が何で決まるのかは、製品ページにもヘルプセンターにも書かれていません(同日時点)。1 回の作業が長い Wonder でどれだけ回せるかは、muse usage コマンドで利用枠を見ながら確かめるのが現実的です。
API で使う Wonder(muse-wonder-1.0)の単価は、料金ドキュメントでは次のとおりで、コンテキストが長くなっても上がりません。
| 区分 | 100 万トークンあたり |
|---|---|
| 入力 | $4 |
| キャッシュ入力 | $0.20 |
| 出力 | $20 |
Muse Code の製品ページの料金表には同じ時点で Wonder の行がないので、単価はドキュメントで確かめてください。
単価より 1 タスクあたりの費用で見る
Wonder の費用は、単価より 1 タスクあたりの総額で比べたほうが実態に近くなります。Latent Space が 2026 年 10 月 13 日時点で紹介した Artificial Analysis の値は次のとおりです。
| モデル | 1 タスクあたりの費用 |
|---|---|
| Muse Wonder | $4.52 |
| Claude Opus 5.5 | $5.98 |
| Claude Fable 5.1 | $7.63 |
| GPT-6 Astra | $3.26 |
| Muse Wonder Full | 価格が未公表で算出できない |
Wonder は出力トークンが約 54k と Claude Fable 5.1 の 78k より少ない一方、入力トークンは 7.69M と多く、単価表だけでは安いと言い切れないんです。Vals AI の評価では 1 タスクに Wonder で約 37 分、Full で約 57 分かかるので、待ち時間や利用枠の減り方も見積もりに入れておく必要があります。
Muse Code と Meta Model API のどちらから入るか
入口は、Full が要るかどうかと、自分のツールやサービスに組み込むかどうかで決まります。公式のドキュメントで確かめられる違いを表にしました。
| 比べる点 | Muse Code の購読 | Meta Model API |
|---|---|---|
| 払い方 | 月額 $5〜$200 | 使ったトークン量に応じて |
| Wonder Full | Power Usage 以上で使える | 提供なし |
| Contributor モード | 既定でオン、切り替えられる | Wonder には -contributor 版がない |
| 始め方 | コマンド 1 行で導入 | ベース URL と API キーを設定 |
Contributor モードは、特典と引き換えに買い物の記録を渡すポイントカードのようなものです。実際は送ったプロンプトやコード、ファイルを Meta が将来のモデルの学習に使うことを認める区分で、Muse Code ではオンにすると利用量が増えます。サブスクリプションのドキュメントによると購読は既定でこのモードなので、設定を変えなければ Wonder や Full で扱ったコードも学習に使われえます。切り替えは /settings か、実行時に --contributor-mode off を付ける方法です。
API は OpenAI SDK や Anthropic SDK と互換があり、ベース URL を変えて API キーを設定すれば、既存のコードをそのまま使えるとされています。ただ Wonder はまだプレビューなので、本番では仕様の変更に備えておくのが無難です。
使いどころと注意点
使いどころは、何日かにまたがって文脈を引き継ぎたい作業や、行き詰まっても手を変えて進めてほしい長めのエージェントの作業だと私は見ています。まず月額 $5 の Everyday Usage で触り、Full が必要だとわかってから Power Usage に上げるのが無理のない順番だと思います。
日本から使えるかは、2026 年 10 月 25 日時点で公式にははっきりしません。API の地域ポリシーが禁じる地域に日本は入っていないものの国の一覧はなく、日本の住所とカードで課金できるかや円建ての価格も示されていません。10 月 23 日に日本で始まったのは個人向けの Muse アプリで、Muse Code や API とは別の話なんです。
日本語についても、モデルカードには名指しした記述や評価結果がなく、強くサポートされる言語の外では性能が落ちうるとあります。日本語の文書は自分のタスクで確かめてから任せるのが確実だと考えています。
ベンチマークの順位も、うのみにしないほうがよさそうです。Meta の比較表には競合を社内でベストエフォートで測った値が混ざり、その表でも Artificial Analysis の総合指標は Claude Opus 5.5 の 58 が Wonder Full の 56 を上回っています。
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ベンチマークの条件と第三者の値
dev.meta.ai のモデルページの比較表で Wonder Full が先頭に立つのは、社内の合成指標の Personal Superintelligence Index(59.1)や長時間のコーディングの SWE-Marathon(57.5、xhigh で測定)などで、Terminal-Bench 4.0-AA と ProgramBench では Claude Opus 5.5 が上回ります。モデルカードによると、第三者や提供元の報告値が無いものは社内の実測や自己申告、公式リーダーボードのうち最も高い値を使っています。SWE-Marathon は GPT-6 Astra を Codex、Claude Fable 5.1 を Claude Code で測った値なので、共通のハーネスでの比較ではありません。
第三者の値では、Latent Space が伝えた Artificial Analysis の Intelligence Index v4.3 で、Spark 1.3 の 48 から Wonder Full が 8 ポイント、Wonder が 4 ポイント伸びました。コーディングエージェントの指標では Full(Muse Code)が 68 と Opus 5.5 の 66 を上回る一方、Wonder は 63 です。費用の表と同じ計測での Full のトークン数は、入力 6.44M、出力約 54k です。Vals AI の Vals Index では Full が 5 位、Wonder が 10 位でした。
モデルと API、導入の細かい点
モデルカードによると推論時のコンテキスト長は 100 万トークンで、3D などの視覚や空間の推論は既知の弱点とされています。API はベース URL が https://api.meta.ai/v1、認証が Bearer トークンで、レート制限は API キーごとではなくチーム単位です。Wonder は毎分 3,000 リクエスト、毎分 400 万トークンまでとされています。Contributor モードの設定は、ヘルプセンターによるとコンピューターごとに保存されます。
Muse Code は macOS と Linux なら 1 つめ、Windows なら PowerShell で 2 つめのコマンドで導入します。
curl -fsSL https://dev.meta.ai/install.sh | bash
irm https://dev.meta.ai/install.ps1 | iex
Windows のネイティブ対応は、2026 年 9 月 17 日に窓の杜が「WSL は不要」として報じています。公式ドキュメントでは、今のところセッション間のメッセージ機能は Windows では使えません。
運用と安全、日本での提供
発表当日には Muse Code の利用枠が異常に速く減るバグがあり、Latent Space によると同じ日のうちに直って全ユーザーの枠がリセットされました。2026 年 10 月 25 日時点で、公式ブログやドキュメント、変更履歴に再発の告知は見当たりません。詳しい安全報告も「近日公開」とされたまま同じ時点で研究ブログの一覧に載っていないので、業務で本格的に使うかどうかはその中身を見てから決めるつもりです。
API の利用規約では、金額は断りがなければ米ドル建てです。Wonder と Full は、今のところ韓国では API でも Muse Code でも使えないとされています。日本の Muse アプリで Wonder が使えるかは公式には示されておらず、Qiita の試用記事の筆者が、アプリの画面にパワーが月 2,799 円(週 5 億トークン)、マキシマムが月 13,990 円(週 30 億トークン)と表示され、どちらも Muse Wonder で動くことを確かめたと書いています。Meta の発表には、価格も利用量も書かれていません。